【リハビリと住環境】硬い床は歩きにくい?研究データから見る「畳」が装具歩行を安定させる理由
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こんにちは、「タタミの栗崎」です。
日本の居住環境において、家の中の床材はフローリングや畳など、部屋によって様々です。普段は何気なく歩いている床ですが、実は「身体の状態」や「履いているもの」によって、歩きやすさや転倒のリスクが大きく変わることをご存知でしょうか。
今回は、医療・リハビリの学術大会で発表された信頼できる研究データをもとに、理学療法士の視点から「プラスチック製装具を履いた方にとっての畳のメリット」について詳しく解説します。
1. フローリングと畳で「足の裏の密着度」を比較
脳卒中などのリハビリにおいて、足首を支えるために「プラスチック製の短下肢装具(オルトトップなど)」を使用して歩行されるケースは少なくありません。
ご紹介する研究では、こうしたプラスチック製装具を使用している脳卒中片麻痺患者様10例を対象に、「フローリング」「リノリューム」「畳」の3種類の床面を歩いたときの足圧分布(接地面積や圧力)を計測・比較しました。
その結果、麻痺側の足において、驚くべき有意な差が認められたのです。
- 足が床につく「接触面積」: 畳の上では、フローリングに比べて約2倍に広がった
- 足にかかる「接触圧力」: フローリングに比べて、畳の上では圧力が大幅に低下した
つまり、畳の上を歩くときが、最も足の裏が床にピタッと密着し、体圧が分散されている状態であることが分かりました。

2. なぜ畳の上だと安定して歩けるのか?
この理由の鍵を握っているのが、床面の「硬さ(硬度)」です。
フローリングやリノリュームといった床材は非常に硬いため、硬いプラスチック製の装具と床がぶつかり、どうしても「反発力」が生まれてしまいます。そのため、足の裏全体がしっかりと接地しにくく、一部のポイントだけに強い圧力がかかってしまい、荷重の分配が不十分な不安定な歩行になりやすいと考えられています。
一方で、畳は硬度が低く、ほどよい柔らかさを持っています。 装具をつけて体重をかけたときに畳がわずかに沈み込んでくれるため、天然のクッション(緩衝作用)の役割を果たしてくれるのです。
このおかげで、足底面全体でしっかりと床を捉えることができ、左右均等でスムーズな体重移動が可能になり、結果として「安定した歩行」に繋がることが示唆されています。

3. 私たちができること
「和室は敷居の段差などがあって転倒のリスクが高そう」というイメージを持たれることも多いですが、床材そのものの特性に注目すると、畳は装具を履いている方の歩行を優しくサポートしてくれる、非常にバリアフリーな床であると言えます。
現在、ご家族が病院から退院してご自宅でのリハビリ生活をスタートされる方や、これからのシニアライフに向けて安心・安全な住環境をつくりたいと考えている方。 お部屋の床選びの選択肢に、ぜひ「畳」が持つ機能性と優しさを取り入れてみませんか?
お見積もりや暮らしのお悩み相談は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

📌 【コラムの引用・参考文献】
- 題目:『床面の違いによる装具歩行の転倒への影響』
- 発表者:桑江 豊 1)、永迫 博幸 1)、湯地 忠彦 1)、東 祐二(OT) 1)、藤元 登四郎(MD) 1)、中島 一樹 2)、田村 俊世 2)
- 所属:1) 社団法人八日会藤元早鈴病院、2) 国立長寿医療研究センター
- 出典:第38回日本理学療法学術大会抄録集(2002年)
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